マギ

&大高忍/小学館・マギⅡ製作委員会・MBS

SPECIAL

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シンドバッドについてと配役について

シンドバッドの描き方についてはどういった考えで進めていますか

宮尾
少年時代の話というところで。でも、周りと違ってこの子は何かを秘めている、みたいな部分は忍ばせて描きたいと考えていますね。
 
本編でも国の主としてのシンドバッドが、兵や民を従えて、ある種理想郷を目指して、いいところまで来ている。けれども、やっぱり彼にとって思い通りに来たわけではない。『マギ』の方では堕転というキーワードも出てきています。シンドバッドを描く際に、本編との連動という意味では、こちらは基礎に立ち戻って、その人物の普通にまだ大きな志もなく、目的も定まってない頃、青かったころにカメラの視点を下しています。今回の作品はシンドバッドの大人物になる前の、普通に少年である、喜怒哀楽がある表情が見えるってことが魅力なんじゃないでしょうか。こちらとしてもそのは掘り下げたくなる部分ではありますね。
岸本
『マギ』本編の大人シンドバッドを知ったうえで『シンドバッドの冒険』を読ませていただいて、少年時代は思った以上に素直でいい奴だったんだな、と(笑)。

原作でもまだシンドバッドの全てが明かされていませんから、描くのは難しかったのではないですか

岸本
まだ無邪気な少年なので、伏線めいたことはあまり意識しませんでした。こんな純粋な子がどんなふうにダークサイドに落ちていくのか、とても楽しみです(笑)。

現時点では、14歳ならではと言ったところですかね

宮尾
少年らしさみたいなのは意識しました。お父さんは亡くなっていますが、普通の家庭っていうか、まず家がある。大人シンドバッドの話とは別で、こういった時代の別の角度からの表情とかを描ければと思っています。母エスラとシンドバッドが一緒にいるシーンって原作ではそんなにボリュームがないんですが、彼の日常みたいなところは丁寧に膨らませて扱いたいなあと。途中からユナンがきて、お話のメインになっちゃうので、エスラとシンドバッドをそんなに丁寧にはできないんですけどね(笑) 岸本さんがその辺を汲んでくれてユナンをうまく使ってシナリオを作ってくれています。そういった日常のシーンを積んでいく中で、前編・後編を通して人間シンドバッドが強力な力を手に入れて、普通の人とは違う人間になっていく姿を描いています。ある種特殊な立ち位置の人間になっていく入り口に差し掛かった時代です。ここに日常を入れながら描けるっていうのはシンドバッドを表現するのによい部分だったなと思います。

アニメとしては見逃せない点に配役もあります。今回の話題としては大人版のシンドバッド役の小野大輔さんが少年時代も演じるところです。

宮尾
大人と子供の兼ね役を本編でどうやって演じきっているかが楽しみですよね(笑) ファンにとっても一つの楽しみになると思います。対面を張るドラグル役が杉田智和さんなのにも注目です。
岸本
後半に、ものすごいガチンコの戦いが待っています。

テープオーディションで、色々なパターン聞いたわけじゃないですか。その辺の存在感などを。

宮尾
小野さんを選んだのって、ちゃんとオーディションを通して、実際声を聴いて14歳の年齢をできるし、やはり理屈じゃない存在感、演技力が強く感じられたからなんです。その小野さんの、もともと持っている存在感の大きさと、戦っていくライバルであり、仲間になっていく存在として杉田さんも選ばせていただきました。小野さんの存在感に負けないライバルが組み合った時に作品がものすごく締まると思うんですよ。
岸本
聞いていて、2人の声はしっくりきましたもんね。作品全体が回り出した感じを受けました。
宮尾
大人の時代の声は多くのファンにとって耳慣れているものだと思います。そこからあえて子供の時の、さらに始めて出会う場面から演技をやってもらうというのは、ファンにとっても、声優さん自身にとってもすごく新鮮だと思うんです。その辺を2人には楽しんでもらいたいなと思っています。
 

大人のシンドバッドから続けて、子供時代もできるのは、かなり幅広い印象ですね

宮尾
戦っている時や誰かを思っている時など、ドラマ要素のあるセリフを1個1個、存在感や重さを持たせながら演じる必要があります。そういう側面をキッチリ出せる役者さんだからこそ今回の『バアル攻略編』におけるシンドバッドの配役としては絶対に外せないワンピースなんです。過去の経験から僕は主人公の声って作品全体に及ぼす影響というのがものすごく大きいということを知ってるので、今回の作品もスケールの大きい作品に育てたいという部分もあります。だからこそこのキャスティングが回を追うごとに効いてくるのではないかと思います。
岸本
その声を聴いて、きちんと映像化に落とし込める自信を監督と脚本家がもてた、ということです。
宮尾
小野さん達と試行錯誤して作り上げていく道を選んだとも言えるので、それも含め作品を大切にしたいと追求した結果という事ですね。
岸本
宮尾監督はオーディションですぐ反応していましたよね。小野さんが圧倒的にいいなあってメモしていたし。杉田さんに関しては、脚本の段階で、よりドラグルが引き立つように書いていましたが、監督がさらに押しすすめてくれて、そのデカさを受けられる存在感となると、杉田さんだったってことですね。
宮尾
その通りです。あとドラマ部分のシリアス一辺倒で話していますが、ちゃんとコメディシーンもやっていますよというのも言っておきましょう(笑) そうとう面白いシーンに仕上がっていますよ。
宮尾佳和 (BARN STORM) プロフィール
丁寧なキャラクター描写と激しいアクションに定評があるアニメーション監督。
監督作である「イナズマイレブン」では企画立案から深く関わっている。
岸本 卓 プロフィール
「サイゾー」編集部、スタジオジブリ勤務を経て脚本家になった異色の遍歴の持ち主。
アニメ「銀の匙」のシリーズ構成・脚本をてがけている。

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